ワインはブドウを原料とした果実酒です。ワインの大きな特徴として、ブドウ以外の原料を基本的に使わない、造り方がとてもシンプルなこと。実はブドウを潰して置いておくだけで、ワインが出来上がるのです。世界中で古くから造られ、愛され続けてきた理由には、こうした「シンプルさ」があると言えるでしょう。ワインは国や産地、畑、ブドウ品種、醸造法、生産者などの組み合わせによって個性が生まれます。あなた好みのワインに出会うために、知っておきたい基礎ポイントをお届けします。
まずはここを押さえよう!ワインの有名産地紹介
さてワインというと、どんな国や産地を想い浮かべるでしょうか?多くの方が「フランス」を挙げるかもしれません。世界中のワイン愛好家から、羨望の眼差しが注がれるフランス。これほどまでに高品質なワインを多様なスタイルで生産していく国は他にはないでしょう。フランスの二大銘醸地「ボルドー」「ブルゴーニュ」、そして華やかなスパークリングワインの聖地「シャンパーニュ」は、ワインの王道中の王道。フランスの最高級ワインは、今なお世界中のワイン市場で圧倒的な人気を得ています。
その他にはどんな国を想い浮かぶでしょう。イタリアは地中海の半島、南北1200キロメートルに広がる「ブーツ」の形に良く似た国土。20州あり、全ての州でワイン造りが盛んです。質と量の両方を兼ね備え、フランスと同じく、独自の原産地統制呼称のシステムを導入しています。品種や栽培、醸造に関するさまざまな規制をもとに、4段階のピラミッド型の等級制度が設定されており、最上級のものは「D.O.C.G.」と呼んでいます。イタリアの二大銘醸地は「ピエモンテ州」「トスカーナ州」。主要なブドウ品種は、イタリア最大の栽培面積を誇る「サンジョベーゼ」、長期熟成型の赤ワインを造る「ネッビオーロ」が有名です。
ヨーロッパ以外の国々のワインを「新世界」と呼んでいます。例えば、「アメリカ」「オーストラリア」「チリ」など。共通するのは、温暖な気候がもたらす果実味が豊かなワインスタイルです。果実味を前面に押し出した「わかりやすい」味わいのワインが多いのが特徴。またブドウ品種がラベルに目立つように記されているので、初心者にも選びやすいでしょう。
上位3国で半分を占める!?世界のワイン生産量ランキング
フランスの政府機関が発表したO.I.V.の発表によると、2021年のワイン生産量ランキングで変化がありました。フランスが2位から3位に順位を落とし、スペインと順位が交代という結果に。しかし輸出額ではフランスが依然トップということで、やはりフランスは高級ワインの宝庫だと推測できるでしょう。また全体を通しては言えることは、上位3カ国で世界中のワイン生産量の約半分を占めること。フランス、イタリア、スペインは不動のワイン大国と言えそうです。
~世界のワイン生産量トップ5(2021年)~
1位:イタリア
2位:スペイン
3位:フランス
4位:アメリカ
5位:オーストラリア
※参照:フランス政府機関 O.I.V.(Office International de la vigne et du vin)
産地やブドウの特徴から好みのワインを探してみよう
ブドウの果実は、畑の気候や土壌、傾斜といった条件を敏感に察知します。
そのためワインは土地の個性が色濃く表現されると言われています。気候、土壌、地勢、収穫年、生育法、生産者、醸造法などの組み合わせで、ワインのスタイルが変化するのです。ブドウ畑を取り巻く自然環境の要因をフランス語で「テロワール」と呼んでいます。テロワールは「国ごと」や「産地ごと」で語られることもあれば、「畑ごと」に語られることもあります。「国か産地を軸にして、少しずつ広げてワインを試してみる」「ブドウ品種着を軸にして、様々な国や産地の同じブドウ品種を使ったワインを試していく」などがおすすめです。
フランスの有名産地「ボルドー」
「ボルドー地方」は、フランスの南西部の大西洋に面した産地。「A.O.C.」(原産地統制呼称法)と呼ばれるフランスのワイン法は、ワイン産地の高級ワインを法律で保護したもの。この「A.O.C.ワイン」のフランス最大の産地がボルドー地方です。ワイナリーの多くは「シャトー」と呼ばれ、優良なシャトーは「格付け」にランクされています。かの有名な「ラフィット」「マルゴー」「ラトゥール」「ムートン」「オー・ブリオン」という5大シャトーをはじめ、偉大なワインを生む聖地です。ワインは複数のブドウ品種をブレンドするブレンドワインが中心。
【おすすめのワイン】
「バロン ド レスタック ボルドー ルージュ750ml」
ボルドーワインの入門編。量販店などで気軽に購入できるワインです。カシスやバニラの香り、なめらかで心地よいタンニンが料理をぐっと引き立ててくれます。ビーフシチュー、牛カツなど相性抜群。
フランスの有名産地「ブルゴーニュ」
「ブルゴーニュ地方」は、フランス中央東部を南北に縦長にのびる産地。ボルドー地方に比べると生産量は低くなりますが、世界中のワイン愛好家が憧れるワイン銘醸地です。赤ワインは「ピノ・ノワール」、白ワインは「シャルドネ」が有名で、最高級のワインには畑の名前が付いています。単一のブドウ品種で造られるワインが中心。北はシャブリ地区、中心部はコート・ドール地区で高級なワインが造られます。日本でも有名な「ボージョレ・ヌーヴォー」は最南部のボージョレ地区のもの。
【おすすめのワイン】
「ルイ・ジャド ブルゴーニュ シャルドネ750ml」
ワインの銘醸地フランス、ブルゴーニュを拠点とする名門ルイ・ジャド。桃、洋ナシやグレープフルーツの香り、優しいバニラ香、心地よい酸味とまろやかなワインです。チキンや白身魚の料理、チーズ料理と合わせて。
フランスの有名産地「シャンパーニュ」
シャンパーニュ地方」は、パリの北東部にある、世界一贅沢なスパークリングワインを生み出す産地。ブドウ品種は「ピノ・ノワール」「シャルドネ」「ピノ・ムニエ」の3種を使います。発酵の終わったワインに糖と酵母を加えて瓶に詰め、瓶の中で二次発酵をさせる「瓶内二次発酵」と呼ばれるとても手間のかかる製法が特徴。二次発酵が終わった後も、そのまま瓶を寝かせて熟成させることで、きめ細かな泡が特徴のエレガントなシャンパーニュが生まれるのです。
【おすすめのワイン】
「テタンジェブリュットレゼルヴ750ml」
大手シャンパーニュ・メゾンが贈る、世界中で愛されるシャンパン。地下室で3年から4年熟成して造られます。桃や白い花、バニラなどを思わせるアロマ、フレッシュでクリスピーな味わいが特徴です。スモークサーモンやカルパッチョなど新鮮な魚介類と一緒に。
イタリアの有名産地「ピエモンテ」
心にブドウ畑が広がっています。ブドウ品種「ネッビオーロ」から造られる「D.O.C.G.バローロ」「D.O.C.G.バルバレスコ」が超有名。イタリアの原産地呼称ワインは、最低熟成期間が定められていますが、その最低期間以上に熟成させると「リゼルヴァ」という表示が許されます。
【おすすめのワイン】
「テッレ・エ・ボルギ ランゲ ネッビオーロ750ml」
高級ワインの聖地として知られているイタリア、ピエモンテ州の歴史ある生産者が造るワイン。ブラックベリーの味わい、力強いシルキーなタンニンが心地よいワインです。ピザやパスタと合わせて。
イタリアの有名産地「トスカーナ州」
ジョベーゼ」を用いた「D.O.C.G.キャンティ」「D.O.C.G.キャンティ・クラシコ」などが有名です。酸やタンニン、果実味のバランスが取れたしなやかなワインです。
【おすすめのワイン】
「ゾーニン・ヴェンティテッレ・キャンティ750ml」
家族経営の名門ワイナリーが造る、トスカーナ州のサンジョベーゼ主体のワイン。新鮮なチェリーなどの果実味と心地良い酸味、タンニンのバランスが良いワインです。トマトの煮込み料理、ステーキなどと一緒に。
アメリカの有名産地「カリフォルニア」
「カリフォルニア」は、年間を通して温暖な地中海性気候。アメリカを代表するブドウ品種「ジンファンデル」は、ブドウをギュッと濃縮した果実感が人気です。二大銘醸地は、「ナパ・ヴァレー」と「ソノマ・ヴァレー」。温暖なナパでは、重厚なカベルネ・ソーヴィニヨンやメルローが、冷涼なソノマではシャルドネやピノ・ノワール、ジンファンデルなどのワインが有名です。
【おすすめのワイン】
「ロバート・モンダヴィ ウッドブリッジ カベルネ・ソーヴィニヨン750ml」
カリフォルニアワインの父と呼ばれる、ロバート・モンダヴィの入門編ワイン。ブラックチェリーやラズベリーのテイストや果実味が抜群のバランス。ハンバーガーやフラウドチキンなどと気軽に合わせて。
まとめ
いかがだったでしょうか。ワインは気候や土壌といったテロワール、ブドウ品種、醸造法、造り手の想いなどがさまざま組み合わさり誕生します。1つとして同じワインはないのです。
国や産地、ブドウ品種、或いは生産者など、1つ軸を決めて色々試してみると、ワイン選びがもっと楽しくなるはずです。さぁワイングラスを片手に、ワインの旅に出かけましょう。
コメント